「片付けなきゃ…」と頭では分かっているのに、体はソファから動かない。せっかくの休日に頑張って部屋を綺麗にしても、数日後にはなぜか元通り…。そんな自分に、ちょっぴり嫌気がさしてしまうこと、ありませんか。
「私はもともと片付けが苦手な性格だから」と、諦めてしまっている方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、もしそのお悩みが、あなたの性格や意志の力とはまったく関係がないとしたら、どうでしょう。
実は、いつもお部屋が綺麗な人というのは、決して特別な才能があるわけではないんです。彼らはただ、頑張らなくても自然とモノが元の場所に戻っていく「仕組み」を知っているだけ。この記事では、そんな「ズボラなままでも、なぜか部屋が片付く」魔法のような収納のコツを、7つのステップで詳しくご紹介します。もう自分を責めるのはやめて、今日から賢い仕組み作りの一歩を踏み出してみませんか。
この記事でお伝えしたいこと
- なぜあなたの部屋はすぐにリバウンドしてしまうのか、その根本的な原因
- ズボラさんこそ実践すべき、片付けの前にやるべきたった一つのこと
- 「出す・しまう」の手間を極限まで減らす、アクション最小化収納術
- 頑張らなくても綺麗が続く、魔法の習慣化の秘訣
- ズボラは欠点じゃない!「面倒くさがり」を才能に変える考え方

その収納、ズボラさんには無理です
雑誌やSNSで紹介されている、美しくて整然とした収納術。憧れますよね。でも、いざ真似してみようと思っても、なぜか長続きしない…。それ、あなたのせいではありません。もしかしたら、その収納術そのものが、「ズボラさん」の性質に合っていないだけなのかもしれないんです。
まずは、私たちがつい陥りがちな「NG収納」の正体を知ることから始めましょう。「だからダメだったんだ!」という気づきが、リバウンド地獄から抜け出すための最初の光になりますよ。
ズボラとは「効率を求める天才」のこと
そもそも、「ズボラ」とはどういうことでしょうか。単に「だらしない」とか「怠け者」という意味で捉えられがちですが、私は少し違う見方をしています。
ズボラな人というのは、「面倒なことが嫌いな人」。そして、それは裏を返せば、「いかに楽をするか、手間を省くかを常に考えている、効率化の天才」だと言えるのではないでしょうか。
無駄な動きを嫌い、最短ルートで目的を達成したい。この素晴らしい才能を、片付けや収納に活かさない手はありません。頑張り屋さん向けの、手間のかかる収納術ではなく、私たち「効率化の天才」に合った、究極にシンプルな方法を見つければいいのです。
なぜ、あなたの収納はリバウンドするのか?
では、なぜ私たちの部屋はすぐに元に戻ってしまうのでしょう。その原因は、大きく分けて2つあります。
- モノが多すぎて、管理しきれていない。
- 「出す」「しまう」のアクション(手間)が多すぎる。
どんなに広い部屋でも、収納できる量には限界があります。モノが多すぎれば、行き場をなくしたモノたちが床やテーブルの上にあふれ出すのは当然のこと。まずは、この絶対量を減らすことが大前提になります。
そして、もう一つの大きな原因が、収納方法そのものの「面倒くささ」です。ズボラさんが特に挫折しやすい「NG収納」には、こんなものがあります。
【ズボラさんNG収納の例】
・細かすぎる仕切り:「靴下は一足ずつ丸めて…」「ハンカチは色別に…」といった細かすぎるルールは、守るのが面倒になり、すぐに崩壊します。
・蓋(ふた)付きのボックス:「箱を取る→蓋を開ける→モノを入れる→蓋を閉める→箱を戻す」。このアクションの多さが、ズボラさんにとっては致命的です。
・重ねる収納:下のモノを取り出す時に、上のモノを全部どかさなければならない。この手間が「とりあえず横に置く」を生み出します。
つまり、美しさを追求するあまり、日々の使い勝手を無視した収納は、私たちには合わない、ということなんです。大切なのは、見た目の完璧さよりも、いかに「楽に戻せるか」という視点なんですね。

「片付け」の前に、まずやるべき「たった一つのこと」
「頑張らない収納」を実現するために、まず、そして絶対にやらなければいけないこと。それは、収納グッズを買いに行く前に、まず「モノを減らす」ことです。
ズボラな私たちにとって、たくさんのモノを管理するのは、それ自体が大きなストレスになります。モノが少なければ、
- 探す手間が減る
- 選ぶ手間が減る
- 掃除の手間が減る
- 戻す場所がすぐ分かる
と、良いことずくめ。管理する対象が少なければ、少ないエネルギーで、部屋を綺麗な状態に保つことができるんです。
とはいえ、「捨てる」という作業自体が面倒ですよね。ですから、これもハードルを極限まで下げましょう。
ズボラさん向け・モノの減らし方
・ステップ1:明らかな「ゴミ」だけを捨てる。(空のペットボトル、期限切れのチラシなど)
・ステップ2:クローゼットの中から、「この1年間、一度も着なかった服」だけを取り出す。
・ステップ3:洗面所で、「使い切った化粧品や、いつ開けたか分からない試供品」だけを処分する。
まずはこれだけで十分です。「全部出して、要る・要らないを分ける」なんていう大掛かりなことは、気力がある時にやればいいんです。少しモノが減るだけで、この後の収納が驚くほど楽になりますよ。

ズボラさんを救う「アクション数最小化」収納術
お待たせしました。ここからが、この記事の核心部分です。私たち「効率化の天才」であるズボラさんのための、具体的な収納術をご紹介します。キーワードは、「アクション数の最小化」。つまり、「出す」「しまう」の手間を、いかに極限まで減らすか、という一点に尽きます。
1. すべてのモノの住所は「ざっくり」でいい
几帳面な人は、引き出しの中に綺麗な仕切りを作り、モノをミリ単位で整頓します。でも、私たちはそれでなくても大丈夫。モノの住所は、もっと「ざっくり」でいいんです。
例えば、靴下の収納。一足ずつ丁寧に丸めて、仕切りの中に並べるなんて、考えただけで疲れてしまいますよね。それなら、「靴下」という名前の大きめのボックスを用意して、洗濯が終わったらそこに「ポイポイ放り込む」だけにするんです。
「ペアが分からなくなるじゃないか」と思うかもしれませんが、そもそも同じような色の靴下しか持たなければ、問題ありません。それに、毎日数秒かけてペアを探す手間と、毎日丁寧に丸めて収納する手間、どちらが私たちにとって楽でしょうか?答えは明らかですよね。
下着やハンカチ、子どものおもちゃなども同じです。細かい分類はやめて、「下着ボックス」「おもちゃ箱」のように、大きなカテゴリーでざっくりと住所を決めてあげる。この「ゆるさ」こそが、長続きの秘訣なんです。
2. 蓋は敵!「オープン収納」でアクションを減らす
おしゃれな蓋付きのボックスは、生活感を隠せてとても素敵に見えます。しかし、私たちズボラさんにとって、「蓋を開ける」というワンアクションは、思った以上に高い壁です。
「後でしまおう」と、ついボックスの横にモノを置いてしまう原因は、この「蓋」にあることが多いんですよ。ですから、思い切って、家の中の収納から「蓋」をなくしてしまいましょう。
私たちが選ぶべきは、ファイルボックス、カゴ、トレーといった「オープン収納」グッズです。これなら、使いたいモノを片手でさっと取り出せますし、しまう時もワンアクションで済みます。
特に、書類やプリント類は、クリアファイルに入れてからファイルボックスに「立てて」収納するのがおすすめです。重ねてしまうと下の書類が見えなくなりますが、立てておけば、背表紙を見るだけですぐに目的の書類が見つかります。探す手間も省ける、一石二鳥の収納術ですね。
3. 使用頻度で決める「一軍だけ」の特等席
家にあるすべてのモノを、同じように使いやすく収納する必要はありません。私たちが本当に楽をするためのコツは、使用頻度に応じて、収納場所に「格差」をつけることです。
まずは、家中のモノを、頭の中で3つのグループに分けてみてください。
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- 一軍:毎日、あるいは週に数回使うモノ(例:よく着る服、毎日使う食器、スキンケア用品)
– 二軍:月に数回、あるいは季節に一度使うモノ(例:たまに着るおしゃれ着、お客様用の食器、季節家電)
– 三軍:年に一度使うかどうか分からないモノ(例:思い出の品、冠婚葬祭グッズ)
そして、「一軍」のモノだけを、最も取り出しやすい「ゴールデンゾーン」に配置するんです。ゴールデンゾーンとは、私たちが立ったまま、あるいは座ったままで、楽に手が届く範囲のこと。だいたい、目線からおへその高さくらいまでですね。
毎日使うマグカップは、屈まなくても取れる棚の手前に。よく着るTシャツは、引き出しの一番手前に。この「一軍」のモノさえ楽に出し入れできれば、日常生活の9割の動作は、ストレスなく行えるようになります。
逆に、「二軍」や「三軍」のモノは、多少手間のかかる場所で構いません。吊り戸棚の上や、クローゼットの奥など、普段はあまり使わないスペースに収納しましょう。こうしてメリハリをつけることが、効率的な収納の鍵となるのです。
4. 「吊るす収納」で床と机は絶対に死守する
部屋が散らかって見える最大の原因、それは「床」と「机の上」にモノが置かれていることです。この2つのエリアさえ死守できれば、部屋は驚くほどスッキリして見えます。
そして、床にモノがないと、掃除が圧倒的に楽になります。掃除が楽になれば、掃除をする気力も湧いてくる。この好循環を生み出すために、あらゆるモノを「吊るして」しまいましょう。
100円ショップで手に入る、S字フック、突っ張り棒、ワイヤーネット、貼って剥がせるフックなどが、私たちの強力な味方になってくれます。
【吊るす収納の具体例】
・帰宅後、カバンを置く場所がないなら、ドアやクローゼットにフックを取り付けて「カバンの住所」にする。
・一度着ただけでは洗濯しない服(パジャマやジーンズなど)は、専用のハンガーを決めて、鴨居や壁のフックに吊るす。
・ドライヤーやヘアアイロンは、洗面台の扉の裏にフックで吊るす。
・よく使うキッチンツールは、コンロ周りの壁に突っ張り棒とS字フックで吊るす。
このように、モノを「浮かせる」ことで、床や机の上は常にクリアな状態を保てます。これは、ズボラさんでも実践できる、最も効果的な「散らかって見えない」技術の一つです。

ズボラなままでOK!綺麗が続く「仕組み」と「考え方」
素晴らしい収納術も、それを維持できなければ意味がありません。でも、安心してください。「毎日頑張って片付けよう!」なんて思う必要は、まったくないんです。ここでは、ズボラなままでも、なぜか自然と綺麗が続いてしまう、究極の「仕組み」と「考え方」をご紹介します。
5. 最終兵器「なんでもバスケット」を置く
どんなに仕組みを作っても、疲れていてどうしても片付ける気力がない日、ありますよね。そんな時のための、「駆け込み寺」を用意しておくのです。それが「なんでもバスケット」です。
リビングの隅など、目立たない場所に、お気に入りの素材でできた、少し大きめのカゴや布製のボックスを一つ置きます。そして、「どうしても定位置に戻すのが面倒なモノは、とりあえずここに入れてOK」という、自分を許すためのルールを作るのです。
郵便物、読みかけの雑誌、ソファに脱ぎ捨てた靴下…。散らかりがちなモノたちの一時的な避難場所ですね。こうすることで、少なくとも、床やテーブルの上にモノが散乱する、という最悪の事態だけは防ぐことができます。
そして、大切なのは、「このバスケットがいっぱいになったら」「週末のテレビを見ている間に」など、定期的に中身をリセットするタイミングを決めておくこと。このバスケットは、あくまで一時的な避難場所。溜め込みすぎないようにだけ、注意しましょう。
6. モノの入り口を制する「1つ買ったら、1つ手放す」
これは、ズボラさんが散らからない部屋を維持するための、最も重要なルールかもしれません。それは、「新しいモノを1つ家に招き入れたら、代わりに古いモノを1つ手放す」という、シンプルな原則です。
私たちズボラさんは、モノが増えれば増えるほど、管理するエネルギーがなくなり、部屋は確実に散らかります。だからこそ、モノの総量を一定に保つ「仕組み」が不可欠なんです。
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- 新しいTシャツを1枚買ったら、クローゼットから一番ヨレヨレのTシャツを1枚、雑巾にするか手放す。
– 新しいマグカップを買ったら、一番使っていないマグカップを1つ、誰かに譲るか処分する。
この習慣を徹底すると、買い物をするときの意識が変わります。「これを買ったら、どれを捨てよう?」と考えるようになるため、衝動買いが減り、本当に気に入った、長く使えるモノだけを選ぶようになるんです。家のモノを、常に最高の「一軍」選手で揃えておく。そんなイメージですね。
整理収納の考え方については、一般社団法人ハウスキーピング協会のサイトでも、モノとの付き合い方について詳しく解説されています。モノの「入り口」と「出口」を管理する意識を持つことが、リバウンドしない部屋作りの鍵となります。
7. 「完璧」を捨てれば、心は軽くなる
最後に、ズボラ収納術における、最も大切な心構えをお伝えします。それは、「完璧を目指さない」ということです。
モデルルームのような、生活感のない部屋に住む必要はありません。多少モノが出ていても、自分や家族が心地よく、そして何がどこにあるか分かっていれば、それで十分なんです。
「8割片付いていれば、上出来!」
そうやって、自分の中の「合格ライン」を、思いっきり下げてあげてください。完璧を目指すから、片付けが苦しくなり、リバウンドしてしまうのです。
「疲れている日は、散らかっていても仕方ない」「週末にリセットすればいいや」。そうやって、自分を許してあげることが、結果的に、長く綺麗を続けるための、一番の近道だったりするんですよ。
ズボラでもできる!一瞬で片付く収納のコツの総括
ここまで、私たち「効率化の天才」であるズボラさんのための、頑張らない収納術をご紹介してきました。最後に、その大切なポイントをまとめてみましょう。
総括:もう散らからない、魔法の「頑張らない」収納術7選
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- 収納は「ざっくり」でOK:細かい分類はやめ、大きなカテゴリーで「ポイポイ収納」できる仕組みを作る。
– 蓋は捨てる:アクション数を減らすため、蓋のない「オープン収納」を基本にする。
– 「一軍」を特等席へ:毎日使うモノだけを、最も楽に出し入れできる場所に置く。
– とにかく「吊るす」:床と机の上を聖域にするため、あらゆるモノを浮かせる。
– 「なんでもバスケット」を置く:どうしても片付けられない時のための、一時避難場所を用意する。
– 1イン1アウトを徹底:モノの総量を増やさない仕組みで、リバウンドを根本から防ぐ。
– 完璧を目指さない:「8割できていればOK」という、ゆるいマインドで自分を許してあげる。
ズボラは、決して欠点ではありません。それは、無駄を嫌い、効率を愛する、素晴らしい才能です。その才能を活かせば、誰よりも賢く、そして楽に、心地よい空間を手に入れることができるはずです。
この記事が、あなたが「片付けの呪縛」から解放され、自分らしい快適な毎日を送るための、ささやかなきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。


